法律ギリギリで悪知恵のあるプロ投資家たちとは?
正直に言うと、儲けの方法論をここで公開したくはないのでが、プロはどのように儲けているのか?ご紹介しようと思います。
実をいうと、ある「種類株」という特殊な資金調達をしている起業は非常に「カモ」にしやすいのです。その一つに「MSCB]があります。
そこで、「MSCB」について、ちょっとわかりやすい文面をご紹介します。
MSCBとは、あの日本放送買収劇において、ライブドア堀江社長が使った”人生をかけた秘策”でした。
ライブドアの堀江社長はMSCBをリーマンブラザーズに発行することにより、
800億円もの資金を手に入れ日本放送の過半数の株を取得するに至りました。
MSCBはライブドアがフジと対等に渡り合うための切り札、大きな資金源となりました。
しかし、このMSCBとは一体なんなのでしょうか?
MSCBとは、Moving Strike Convertible Bondの略称であり、
日本語では「転換価格修正条項付転換社債型新株予約権付社債」のように訳されています。
そもそも転換社債(CB)とは、社債を発行した企業が社債を買ってくれた人に対し、
1、国債などと同じように期限まで持ち続けることで、利息を手に入れることが出来る。
2、もし株価が設定された転換価格より高くなれば、社債を株に転換し値上がり益を得る事ができる。
という特徴があるものでした。
株数が増える可能性もありEPSも希薄化されますが、
株価が設定価格より下がれば、引き受け先においては社債を株に転換することは不利であり、
転換による売り圧力はそれほど発生する事もなく、株価が極端に下がる事はありません。
しかし、MSCBは違いますよ。
なぜならMSCBには下方(上方)転換価格修正が付加されています。
今回のライブドアが発行したMSCBの場合には、下記のような条項が盛り込まれていました。
1、発行総額:800億円
3、利息は付さない
9、157円を下限とした転換価格の修正があること
つまり、
”リーマンさん、800億円を無利子で貸してくれない?
無利子だけど、社債は1株=450円で転換してもらってかまわないから。
え?450円より株価が下だったら俺が損するじゃないかって?
うーん。それもそうだ。
それじゃあその時は時価より10%ほど安く転換してもいいよ♪
そうすればリーマンさんは絶対に時価より安く株を手に入れられるでしょ?
それを時価で売れば必ずリーマンさんは儲かるってわけ♪
あ、そうそう、最低でも157円までしか株価は安く出来ないけど、
それは勘弁してね♪”
・・・と、こういうことなんですよ。
つまりリーマンブラザーズは社債を株に転換し市場で売れば必ず利益が出るんです。
これは悪魔の錬金術です。
株式会社である以上、企業は株主のものであり、
会社は株主の利益を最大化するように勤めなければなりません。
しかし、このMSCBは企業に莫大な資金を与える代わりに、
既存株主に対して株価の暴落とEPSの希薄化をもたらす行為です。
ライブドアがMSCBをリーマンブラザーズ宛に発行した2005年2月8日以後、
ライブドアの株価に何が起こったか・・・
リーマンブラザーズはライブドアの社債を保有する事では無利子であるが故、
このままではなんの恩恵も得る事ができません。
しかし、社債を株に転換すれば下方修正条項によって必ず10%のキャピタルゲインを得る事ができる・・・
そこでリーマンブラザーズの取った行動は一つ。
”社債を株に転換し、ひたすら市場で売り叩く!”
市場には3億株もの売り圧力が発生し、高値497円から暴落。
最終的に株価は292円まで40%以上も暴落しました。
発行株式数も6億株から9億株以上へと150%も膨れ上がり、
EPSも同様に希薄化されました。
そして・・・個人投資家の屍の上に、
ライブドアは日本放送株の買収劇に勝利する事が出来ました。
この株主をないがしろにする悪魔の錬金術はライブドアの日本放送買収劇以降、
ACCESS<4813>やアセット・マネジャーズ<2337>など多くの銘柄で発動され、
その全てにおいて株価の下落を招いています。
MSCB・・・なんとも悪魔が思いつきそうな錬金術ではないですか。
ちなみに、この錬金術が普及してきたある一定に時期に「荒稼ぎ」しているプライベートファンドもありました。
このように経済学でいう「市場の非効率性」を利用し、中長期ではこの市場の「穴」はふさがり、その結果利益が上げにくいですが、「短期」においてはこのような荒稼ぎが成り立つのです。
やはり、経済市場、資本主義はマルクスでいうところの「怪物」がいるのでしょうか?
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